就業管理:年次有給休暇

就業管理就業管理,労働基準法

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労働基準法が改正され、2019年4月1日より、全ての企業において、年10日以上の年次有給休暇が付与される労働者に対し、年5日の年次有給休暇取得が義務付けられました。
そこで年次有給休暇について解説します。

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年次有給休暇の付与日数

年次有給休暇の付与日数は法律で決まっています。

業種、業態にかかわらず、また、正社員、パートタイム労働者などの区分なく、一定の要件を満たした全ての労働者に対して、年次有給休暇を与えなければなりません。(労働基準法第39条)

以下が労働基準法で定められている年次有給休暇の義務規定です。
これは最低限の規定であり、この規定より労働者が不利益となる規定を就業規則に定めること法定違反となります。
逆に、例えば年次有給休暇を入社3か月後に10日付与したり、入社6か月後に20日付与することは労働者の有益になるため就業規則に定めることは法令違反とはなりません。

厚生労働省・都道府県労働局・労働基準監督署|リーフレットシリーズ労基法39条

年次有給休暇の付与日数

法令準拠であれば、例えば、2019年4月1日に入社した場合、6ヶ月後の2019年10月1日が初回付与日となります。
2019年4月16日に入社した場合は6か月後の2019年10月16日が初回付与日となります。

年次有給休暇の付与条件

年次有給休暇の付与条件として8割以上の出勤率が必要です。出勤率が8割未満であれば会社は年次有給休暇を付与する義務はありません。
出勤率の基本的な計算式は以下の通りです。

出勤率=出勤日数÷全労働日

法令準拠であれば、例えば、2019年4月1日に入社した場合、2019年4月1日~2019年9月30日の総日数から就業規則などによって定める休日を除いた日数が「全労働日」になります。一般的には土日祝および年末年始などの会社指定休日を除いた日数となります。

「出勤日数」は勤務した日数となりますが、業務上の怪我や病気で休んでいる期間、法律上の育児休業や介護休業、産前産後休暇を取得した期間は出勤日数に含めます。

上記以外の出勤日数の定義については会社によって様々です。一般的に年次有給休暇を取得した日は出勤日数に含める会社がほとんどでしょう。

年次有給休暇の時効

年次有給休暇は発生の日から2年間で時効により消滅します。(労働基準法第115条)

法令通りであれば、入社日基準で年次有給休暇が付与されるため、労働者によって付与日がバラバラになり労働者が多い会社では管理が困難になります。そのため毎年4月1日など、指定された日に全労働者に対して年次有給休暇を付与するという一斉付与を行う会社が多くあります。

ここで注意が必要なのは、例えば入社日が2019年4月1日の労働者の場合、初回付与日は6ヶ月後の2019年10月1日、2回目の付与日は一斉付与により2020年4月1日、3回目の付与日は2021年4月1日となりますが、初回付与の時効は2年後の2021年9月30日となるため、2021年9月30日までは初回付与分の年休が使用可能となります。
初回付与の時効を2年未満の2021年3月31日とするのは法令違反となります。

一斉付与の時効

年次有給休暇の取得時季

年次有給休暇を取得する日は、労働者が指定します。使用者は労働者が指定した日に年次有給休暇を与えなければなりません。ただし、労働者が指定した日に年次有給休暇を与えると、事業の正常な運営が妨げられる場合は使用者に休暇日を変更する権利が認められています。これを時季変更権と言います。

時季変更権の行使が認められるのは、同じ日に多くの労働者が休暇を指定したため、事業が正常に運営できない場合などが考えられます。単に業務多忙だからという理由では時季変更権は認められません。

年次有給休暇は労働者に与えられた正当な権利であるため、特に休暇理由を告げる必要ありません。

年次有給休暇の取得時季指定義務

年次有給休暇は、原則として、労働者が指定する日に与えることとされていますが、法改正により2019年4月1日より、年10日以上の年次有給休暇が付与される労働者に対しては、年次有給休暇の日数のうち年5日については、付与日から1年以内で、使用者が時季を指定して取得させることが必要となります。但し、年次有給休暇を年5日以上取得している労働者については、時季指定は不要です。

使用者は、時季指定を行う際は、労働者の意見を聴取し、その意見を尊重して取得日を決めなければなりません。

厚生労働省・都道府県労働局・労働基準監督署|リーフレットシリーズ労基法39条

年次有給休暇の時季指定義務

年次有給休暇の計画的付与制度

年次有給休暇のうち、5日を超える分については、労使協定を結べば、計画的に休暇取得日を指定することができます。年末年始やお盆などに年次有給休暇を計画的に付与し、大型連休にすることができます。これを「計画年休」と呼んだりします。

ここで注意が必要なのは、新入社員など年次有給休暇が発生していない労働者や、年次有給休暇の付与日数が5日以下の労働者には計画年休は適用できません。

そのような労働者については、計画年休の対象外とするか、特別な有給休暇を与えるなどの対応が必要になります。年次有給休暇が発生していない労働者を計画年休日に休ませた場合は、会社都合で休ませたことになるため休業手当の支払いが必要です。休業手当は平均賃金の6割以上となりますが、有給休暇ではないため、就業規則で休業手当については平均賃金の6割と定められていた場合、結果としてこの日については4割の減額となります。

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