シングルサインオン(SSO)のプロトコル

セキュリティセキュリティ

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シングルサインオン(SSO)は、ユーザーが一度の認証で複数の独立したシステムにアクセスできる仕組みです。SSOのプロトコルは、セキュリティを確保しつつユーザーの利便性を向上させるための標準化された手続きです。本記事では、主要なSSOプロトコルとその仕組みについて解説します。

SAML(Security Assertion Markup Language)

概要:
SAMLはXMLベースのオープン標準であり、アイデンティティ情報の交換に特化しています。主に企業内やB2Bの環境で利用されます。

仕組み:
SAMLは3つの主要コンポーネントで構成されます。
・アイデンティティプロバイダ(IdP):ユーザーの認証を行う。
・サービスプロバイダ(SP):ユーザーがアクセスするリソースを提供する。
・SAMLアサーション:IdPが生成し、SPに提供する認証情報。

フロー:
1. ユーザーがSPにアクセスを要求。
2. SPがユーザーをIdPにリダイレクト。
3. ユーザーがIdPで認証。
4. IdPがSAMLアサーションを生成し、ユーザーをSPにリダイレクト。
5. SPがSAMLアサーションを検証し、ユーザーにアクセスを許可。

OAuth 2.0

概要:
OAuth 2.0は、リソース所有者の権限を管理し、第三者にアクセスを許可するためのフレームワークです。主にウェブアプリケーションやモバイルアプリで利用されます。

仕組み:
OAuth 2.0には4つの役割があります。
・リソース所有者:リソースに対するアクセス権を持つエンティティ(通常はユーザー)。
・リソースサーバ:保護されたリソースをホストするサーバ。
・クライアント:リソース所有者の代理でリソースにアクセスするアプリケーション。
・認可サーバ:アクセス許可を発行するサーバ。

フロー:
1. ユーザーがクライアントにリソースアクセスを要求。
2. クライアントが認可サーバにリダイレクトし、ユーザーの同意を取得。
3. 認可サーバが認可コードを発行。
4. クライアントが認可コードを使用してアクセストークンを取得。
5. クライアントがアクセストークンを使用してリソースサーバにアクセス。

OpenID Connect

概要:
OpenID ConnectはOAuth 2.0をベースにした認証プロトコルで、ユーザーのアイデンティティを確認するために設計されています。OAuth 2.0と異なり、主にユーザーの認証に焦点を当てています。

仕組み:
OpenID ConnectもOAuth 2.0のフレームワークを使用しますが、IDトークンと呼ばれるJWT(JSON Web Token)を追加で提供します。このトークンにはユーザーの情報が含まれています。

フロー:
1. ユーザーがクライアントにログイン要求。
2. クライアントが認可サーバにリダイレクトし、ユーザーの認証を要求。
3. 認可サーバがユーザーを認証し、IDトークンとアクセストークンを発行。
4. クライアントがIDトークンを検証し、ユーザー情報を取得。

Kerberos

概要:
Kerberosは、ネットワーク上の通信を暗号化し、安全に認証を行うためのプロトコルです。主に企業内ネットワークで利用されます。

仕組み:
Kerberosは対称鍵暗号を使用し、3つの主要コンポーネントで構成されます。
・クライアント:認証を必要とするユーザー。
・サーバ:ユーザーがアクセスするリソースを提供。
・キー配布センター(KDC):認証チケットを発行。

フロー:
1. クライアントがKDCに認証要求。
2. KDCが認証チケットを発行。
3. クライアントがチケットを使用してサーバにアクセス要求。
4. サーバがチケットを検証し、アクセスを許可。

SSOのプロトコルは、ユーザー体験を向上させると同時にセキュリティを強化するための重要な手段です。SAML、OAuth 2.0、OpenID Connect、Kerberosは、それぞれ異なる用途と環境に適した認証と認可の仕組みを提供します。これらのプロトコルを理解し、適切に実装することで、システムの安全性と利便性を大幅に向上させることができます。

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