マナーの基本
ビジネスマナーの基本中の基本である時間と挨拶について記載します。
マナーとは
(1) マナーは愛
マナーとは礼儀作法のことです。
マナーというと、「こうしなければならない」と堅苦しく考える人がいますが、新渡戸稲造が「武士道」で、以下のように述べています。
「体裁を気にして行うならば礼儀とは浅ましい行為である。真の礼儀とは、相手に対する思いやりの気持ちが外に表れたもの、礼儀の最高の姿は愛と変わりありません」
つまり、マナーの根底にあるのは、このような考えです。
・自分がされてうれしいことをする
・自分がされて嫌なことはしない
・相手を思いやり、相手の立場に立って考える
(2) マナーが必要な理由
マナーを守って仕事をすると、次のような効果が期待できます。
・相手に好印象を与える
・仕事を円滑に進めることができる
(3) マナーの種類
仕事に欠かせないビジネスマナー、食事の際のテーブルマナー、公共の場で守るべき公共マナーなど、マナーにはいろいろな種類があります。
ビジネスマナーには、次のようなものがあります。
・美しい動作と身だしなみのマナー(お辞儀の使い分け、ドアの開閉、正しい着席、服装、髪型など)
・仕事の基本マナー(命令・指示の受け方、報告の仕方、ビジネス文書の書き方など)
・紹介・訪問のマナー(自己紹介、他人紹介、名刺交換、来客応対、会社訪問など)
・席時の決まり(応接室や会議室の席次、乗り物の席次)
時間
(1) 基本のルール
ビジネスでは、時間厳守が鉄則です。
始業時刻、お客様との約束の時間、会議の開始時刻など、ビジネスにおいては守らなければならない時間がたくさんあります。時間を必ず守り、決められた時刻には、指定された場所にいるようにしましょう。
※定刻に遅れそうになった時は、「遅れる可能性がある」とわかった時点で連絡しましょう。
(2) 始業時刻のルール
始業時刻とは、出社時刻のことではなく、仕事を開始できる時刻のことです。遅くとも5分前、通常は5分から10分前には、指定の場所に着いているようにしましょう。出社してから始業時刻までの時間は、次のようなことをして過ごします。
・メールチェックや書類の整理など、仕事の準備をする
・机の上などを掃除する
・コピー用紙の補充、職場の植物への水やり、新聞や雑誌の整理など、オフィスの環境を整える
挨拶
(1) 基本の挨拶
挨拶はコミュニケーションの基本です。ここでは、ビジネスでよく使う挨拶を確認しましょう。会社で決められた挨拶がある場合は、会社のルールに従います。
出社した時 | 「おはようございます」、同期や部下へは「おはよう」でもよい |
外出する時 | 「行ってきます」、「行って参ります」 |
帰社する時 | 「ただいま戻りました」、「ただいま帰りました」 |
会議室などに入退出する時 | 「失礼致します」 |
社内などで社員とすれ違う時 | 朝は、「おはようございます」、朝以外は、「お疲れさまです」 |
退社する時 | 「お先に失礼します」 |
退社する人に対して | 「お疲れさまでした」 |
(2) 挨拶のポイント
挨拶をするときは、次のことに心がけましょう。
・明るい表情でする
・大きな声でする
・アイコンタクトをする
・自分から先にする
※相手が電話中だったり、人と話をしたりしている時は、声を出さずに、会釈のみで挨拶する場合もあります。
握手
国際的なビジネスの現場では、挨拶として握手をすることがあります。握手の基本マナーを押さえておきましょう。
・右手を出すのが原則
・女性から先に手を出して求める
・目上の人から握手を求める
・しっかりと相手の目をみて行う
・座っていても、一旦立ち上がって握手する
・相手の手をほどよい強さで握る
・手袋は外す
※心を込めてしっかりと相手の手を握りましょう。遠慮がちにそっと握手をすると、熱意のない人と思われます。
お辞儀
(1) お辞儀の種類
お辞儀には、会釈、普通礼、敬礼、最敬礼があります。時と場合に応じて使い分けましょう。
種類 | 角度 | シチュエーション |
会釈 | 15度 | 人とすれ違いざまに挨拶をする |
普通礼 | 30度 | 上司、目上の人に挨拶をする、お客様を迎える、訪問する |
敬礼 | 45度 | お客様を見送る、お礼をする、お願いをする |
最敬礼 | 70度 | 謝罪をする |
(2) お辞儀のポイント
・背筋を伸ばし、両足をそろえ、両手は体に沿わせて、あごをひく
・相手の目を見てからお辞儀をし、ひと呼吸おいてゆっくり身体を起こしたら、再び相手を見る
・頭だけを下げるのではなく、背筋を伸ばした状態で腰から上体を傾ける
※お客様を案内している自社の者とすれ違った時は、自社の者へ挨拶するのではなく、お客様に30度の普通礼のお辞儀をします。